旧 太極拳よもやま話 未分類

「双重」という太極拳用語

2012年12月20日

 本日も日本人の方から中国語の言葉を聞かれてしまいましたが、古典哲学的表現になると更に何度が上がるような気がします。そして、哲学的かつ難しい武道用語になるとなす素手があいですね。現在もインターネットで張三豊や王宗岳の太極拳論をいろいろなふうに訳されていますが、文面だけの約でしたら文学者や翻訳家なら誰でも出来てしまいます。但し、太極拳用語は独特で文面とまったく違う意味で解釈しなければならない時が多く、太極拳大師達のノウハウを実録しなければ、真の解釈とはなかなかいかないものです。
 「双重」という中国の言葉ですが、文字通りだと二つの重心になります。太極拳業界での一般的の説明では重心を両足のどちらかに重心を持っていくようにしなさいとの説明が一番有力です。では、ここで一つ大きな問題が生じてしまいますが、片足で立つ時はどのようにすればよいのでしょうか?困ってしまいますね。何故ならば、人間って一番質問が上手なものです。相談に応じますよと言ったら、分野内外問わず様々な質問が飛び撒きますね。
 ここで言い切る必要がありますが、完璧に「双重」しない人は一人もいないです。張三豊大師も、王宗岳大師も、楊露禅大師も、宋書銘大師も・・・。人間である以上、絶対的な「無双重」はありえないです。要するに、太極拳で申し上げている重心というものは一つの点の話しですね。人間は太極拳の練習時、例え踵で立っても一点だけの重心ではありません。それにしても太極拳練習時、踵だけで立てる人間は殆どいませんね。(理想のまた理想)ということは私達近代人がやっている太極拳というものが本当に不完全過ぎます。
 多くの方々が太極拳には十三勢というものをご存知ですね。実は裏話ですが、十三勢って相手の双重を任意的に作ってしまうようなものです。「双重」は簡単に説明すると、自分で重心を固定させてしまう、または相手重心を非常に小さい範囲の中でコントロールされてしまうことです。自分が双重していないつもりでも、十三勢のうまい使い手にかかったら「双重」になります。
 自分の双重を少なくするという意味にしても、相手が双重状態に陥る手段にしても、相手の体を触る必要がありますね。これは推手の重要性であります。でも、いずれの意味合いで双重をなくすなり、させるなりの基本中の基本は正しい太極拳の基本拳です。先走らず、気持ち高ぶらず、そして、なによりも脳の相対的な集中です。
 すこしずつ頑張りましょう。

 呉式太極拳研究会師範 沈 剛 http://www.geocities.jp/goshikitaikyokuken/
 

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