旧 太極拳よもやま話 未分類

太極勁を語る時の「密度」と言う言葉

2014年2月11日

 この言葉ではおそらく中国語と日本語ではほぼ同じニュアンスで解釈していますね。ならば太極勁的共通言語として是非取り上げたいと存じた次第です。密度を重んじることはほぼ太極拳五大流派の皆が重んじています。当然のようにこの「密度」と言う言葉を使う時は、推手が用いられていることが殆どですが、謂わば、相手と手が繋がった一瞬から目立った隙間を見せないことであります。太極拳推手は他の武道で言う戦いとちょっと違って、相手との連なっていること、緩急も、重さも、方向もほぼ同一と言う「連」と言う太極勁が存在している位に、いわば、人様との切っても切れない関係が大切にされてきました。そして、楊家と呉家が共通で言っている「四病」説も実際に相手との変わらない一定の密度を保つことによって自分の「四病」が相手よりも目立たなくなることが成立することとなっています。呉家は楊班候先生の「太極法説」より「四病」説を研究し続けてきましたが、個人的に感じているのは人間である以上、誰でも頂、?患、丢、抗の四病を多なり少なりに持っています。例えば、年を取ってくると人間の体は思わぬ震えたり、揺れたりしますね。昨今の若者も何故か手が震えたり揺れたりしているようです。このような感覚で推手をしていると、そんなに太極勁が上達していて、四病をかなり隠しておいても、微妙な揺れが新たな四病を作ってしまう訳です。これは写真機のシャッターを切る時にかなり似ていますね。写真家の皆様がシャッターを切る時はいつものように呼吸を止めるそうですが、太極推手のようなミクロの世界での話では、本当は大きな呼吸でさえ「四病」として捉えてしまう程、写真のシャッターを切ることよりも遥かに敏感なことになります。
 でも、このように推手時の密度と言う元々、太極拳の専門用語ではない言葉ですが、多くの方がネットや実際の教学で語っている裏腹に、哲学的な密度の練習が各家で今日では真剣に注意深く練習されていないことがわかっております。これは、おそらく太極推手の勝負観や面子を重んじる近代人によって、手を合わせた以上どんな事があっても相手様には負けられないと、一昔の人間とはかなり違った新人類の勲章とでも言いましょうか。とにかくどんなことをしても負けたくないですね。それは私の家も同じです。同門で推手の交流をしていて、押し倒したり、首を絞めたりするケースも多発していますね。他の家だと首を絞めることも一つの技であると主張しているところもあります。およそ、人間は本来負けられない者でありましょうか。だが、このようにして咄嗟の激しい動きによって戦っていても、「太極四病」が一際目立つようになることが確実で、何とか太極勁の領域で修練していこうとする者はおそらく面子を捨てて、人に押されても慌てずに、何とか頂、?患、丢、抗を克服しながら、例え人様に押し出されても、相手との密度を詰めながらいつかは押された一瞬に不頂丢に近い感覚が掴めていれば、どんな相手様もそんなに簡単に貴方を押し出すことが出来なくなります。言い換えれば、太極勁は失敗の中で修練していくと一番よいですね。
 これもこのはずです。太極拳は元々、弱者の拳法であることはこの私どころか、多くの太極拳先生も求めているはずです。太極勁を身に付きたいのならば自分も出来る限り弱者になることです。私は本日も太極拳教室で教えていましたが、毎回のように推手の時間を基本拳や他の武器と変わらないに取っていました。皆様には「四病」のことを再度確認し、密度を詰めるように教えていました。勿論、自分も色々な学生さんと推手をします。女性の方もいて私はいつものように女性の方よりも軽い手付きで推手をしていました。そして、いつものように僅かな力で女性の方の重心を少し崩したりしてもみましたが、安全第一とのことで少し動いたところですぐに自ら手を引くことにしています。これも謂わば、私時分の四病の中の抗を減らす練習でもありますね。
 太極勁は無限であります。多くの学生や同門の中では自分の四病があまり目立っていないかもしれないですが、例えば、師馬岳梁が今日迄生きていたら、おそらく手と手が接触した瞬間に我が身が宙に浮いていることが確実ですね。推手時の密度が高ければ、相手に対する手付きも軽くなれます。ということで今の一般の方々では、手付きが若干重くても大丈夫ですね。いつか結果的に密度が上がれば、自然に手付きが軽くなりますよ。でも、一応は軽い手付きで推手することをお勧めします。これは密度の話しとも関連していますし、太極用語の「感覚」とのことにも繋がっています。

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