太極的柔らかさは主に上半身であることを指します。
以前の「四方山」でも言及した通り、人間は二本足で立つという義務があり、進化しているうちに両足で全体重を支えることになるし、二本足での歩行も実は人間の足にかなりのダメージを与えています。人間の足はこれ程の大きな役割を担っていて、かなりの筋肉がついているのが普通です。靭帯が子供の時に鍛えればかなり伸ばすことは可能ですが、足にある程度の筋肉がついていない人間では立てないですね。
太極拳でよく柔らかさのことを言及しますが、これは骨盤より上の話しになります。一般的に筋、骨と皮のレベルで分けていますが、実際、実感しやすいのが筋と骨の柔らかさです。筋がある程度柔らかくなったところで骨も自動的柔らかくなることが一般的ですが、筋から骨の間には関節が柔らかさも鍛えられています。筋と骨は基本拳や推手で鍛えられますが、関節の場合は武器での修練がもっとも効果的だと言われています。
個人の体験で申し上げられる「皮」のい話しですが、これは皮と筋肉が軽い分離状態のことになります。例えば、片手が後方へ押されている時の対処法ですが、一般的だと相手の「推す」という行動に対して力で対抗しますが、筋と骨が柔らかくなれば相手の推す力に合わせ、後方へ移動したり、左右の方向へも相手の力をかわしたり、これは所謂「太極十三勢」の世界です。相手と着かず離れず、相手の動きに合わせての体の動き、相手と一緒になって進退することなどがあります。皮レベルになると体の一部分が押されると皮だけが相手に力に合わせて動くが、体が動いていないです。(皮膚と筋肉の分離)
皆様もご自分の手を掴んで軽く引っ張って見てください。人間の皮膚は既に筋肉と離れており、筋肉と皮膚が固定していないことは確認出来ます。人間の体が柔らかくなればなる程、相手の力を感じる能力が上がります。よって、推手時の動きも小さくなりますが、皮レベルというのは皮膚が筋肉とのズレ位の動きで既に相手の力をかわし、相手の重心を破壊したとのことです。先日、私が現在、推手を教えている方と練習していて、自分の体が動いていないのに私の生徒さんの重心が失ったのですが、これはまさに皮レベルの「太極勁」ですね。
これが、所謂「太極的柔らかさ」であります。
太極拳は難しくないですが、時間をかけてやればいいです。これは世の中のすべての稼業も同じですね。
太極拳は難しくないですが、より正しい基本が守っていればよいです。これも人類社会の鉄則です。
太極拳を改革してもいけなくはありません。但し、改革者が長い間太極拳を修練し太極拳を知り尽くしている方ではなければなりません。
太極拳の最高レベルに達していれば、日常生活の中のすべての動きが太極拳の練習になりますよ。所謂「無形」状態ですね。但し、太極拳の基本もわかっていないのに、「無形」などを語る資格はないですよ!
太極的柔らかさ
2013年5月26日