旧 太極拳よもやま話 未分類

《門外不出の秘訣》

2013年9月27日

 と言っても、中国語の「功夫用語」では誰でも知っているように「武功密訣」という言葉があり、日本語で大分探してみたのですが、本日のテーマに至りました。
 「武功密訣」で最も有名なのがおそらく、金庸小説の《射雕英雄伝》の中の九陰真経になりますね。あれさえあれば一番強い武道家になると誰でも信じていて、西毒欧陽峰という武道家が《九陰真経》を探し求めていくうちに精神分裂になり、死ぬまで自分は誰であることすら分からなかったのです。
 だが、近代世界ではどうしても自分の身を守るでしたら軍隊の中では鉄砲から弾道ミサイル迄、ありとあらゆる武器でもう「九陰真経」の出番はありませんが、でも何故か人間はこの中国の宋の時代を歴史背景にして作られた話しに熱中していますね。日本人の方も《射雕英雄伝》を読まれた方が非常に多いと伺っております。
 《門外不出の秘訣》って本当にそこ迄に人々の心を揺さぶってしまう魔力が秘められているのでしょうか。太極拳の世界でも色々と「密訣」があるのでしょうか。
 ありますよ。太極拳家元では弟子入りの儀式の後に「密訣」を伝えるにが一般的です。それを知りたいですか。では、弟子入りをしてくださいという風に言いたいですが、でも、今日はもう資本主義が大分進んでいるところでもう、封建社会的な弟子入りは時代の流れには会わないかもしれませんね。社会的には職人技や伝統文化の領域が段々と狭くなり、学歴で人生の幸せを掴む時代にはもはや科学がものを言う時代しか生きていけない時代が全面的に到来することは当たり前です。
 こうなると、もう弟子入りする必要もなく「密訣」をお教えすることになりますね。でも、何故かあまり太極拳の「密訣」が一般の人々に伝わっていないですが、何故と色々な方に聞かれております・・・。困りましたね。どのように答えれば良いのでしょうか。太極拳の家元が皆ケチだからお金を沢山くれないと教えてあげない・・・というふうに言っている中国人は要注意です。大体、このような方々は何の「密訣」も持っていないとのことは自分が26年間中国人をやっていた経験からわかりますね。
 太極拳の家元では、太極拳の「密訣」を誰にでもお教えしない本当の理由はこうだと思います。「密訣」は大体、ある程度修練された物に対し本質的な部分をある程度の基礎が出来た上で、更なる修練の為のものです。基礎の段階で間違いだらけで例え「密訣」を教えたにしても実は悪い効果しかありません。わたくしも大分太極拳慢架を修練してから師より「呉式太極拳密訣の十二字」を教わったのですが、何故大分時間がかかってから伝授したのかがわかったのは、自分が太極拳を修練して30年以上も立った頃です。
 結果から申し上げますと基礎が出来ていない人間の「密訣」を教えて修練させると、「偏差」を起きることが免れません。
 もう一つの結果を申し上げると、現在の呉式太極拳上海家元の呉式の弟子も「密訣」が伝わっていない者が多いです。理由は簡単ですよ。太極拳を一生懸命練習していないから「密訣」を教えるのが危険ですね。だって、「偏差」を起きると師匠が責任を持って脱出を手伝わなければなりませんが、逆にいうと「太極拳偏差」を直す力がない人でしたら、その師匠より「密訣」を教わることも有り得ないです。
 ではでは、本物の太極拳は結構難しいでしょうか。いいえいいえ、私が毎日申し上げている簡単なことを守っていれば、本物に太極拳も実に簡単ですよ。
 世の中で一番難しいことは、多分、毎日の簡単なことを守っていくことかもしれないですね。

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