旧 太極拳よもやま話 未分類

山梨呉式太極拳研究会へ出張講演

2013年3月17日

 山梨の呉式太極拳研究会の要請を受け、本日は山梨の皆様と大変楽しい時間を過ごさせて頂きました。多くの方に囲まれましての4時間ですが、あっと言う間に感じております。人間は好きなことをやっている時、好きな人と一緒にいる時はいつも時間が短く感じるって本当のようですね。
 さて、本日山梨の皆様には太極拳の世界で最も重要な三つの基本を、時間をかけて説明致しましたが、復習と備忘録替わりでよもやま話しでもう一度触れて置きましょう。
 一、座胯(ザクァー?):上半身の首の下から腰までを自然のままで二つの骨盤に載せるというか静かに置かれているというか、重力に任せると言った方が妥当です。これで結果的に体の重心がかなり低くなりますが、一般的に体を無理にして低い姿勢で低い重心を作るのと違って、座胯は重心が低いが自然であります。(体の柔らかさと低い重心を兼ねている劲である)
 一、骨盤(胯)で自然界の八つの方向を決め、動かないこと。太極拳を修練する際は通常体が回るように見えますが、実はこれはすべて腰が動いています。骨盤は言うまでもなく、方向転換以外の時が微動ともしてはなりませんが、他に腰以外の部分も動きを目立たくないようにしましょう。肩の左右の振れもなるべく少なくしましょう。体全体の動きを少なくしましょう。張三豊大師の太極拳論の一節を引用させて頂きますが、ある程度の関連性がございます。・・・一舉動周身俱要輕靈,尤須貫串。氣宜鼓盪,神宜內斂,無使有缺陷處,無使有凹凸處,無使有斷續處。其根在腳,發於腿,主宰於腰,行於手指,由腳而腿而腰,總須完整一氣,向前退後,乃能得機得勢。・・・。
 一、頂頭懸を守ること。頭の真上から無形の紐で軽く引っ張られ、首が自然に伸ばしている様子であります。理由は以外と簡単です。折角、座胯が上手く出来ても、人間は構造的に首を短くすれば前身が硬直になりますし、肩も上がってしましますね。そして、人間の頭の位置が下がると百会というツボが閉じてしまいます。百会は当然、閉じたり、開いたりしますが、常に閉じることは禁物です。
 以上の3点は太極拳を修練される時に最も大切なことです。説明があっても難しく理解出来ないこともあろうと思いますが、只管、守って頂ければ、短期間で必ずこの3点の恩恵を受けることと信じております。
 山梨呉式太極拳研究会以外の方も是非、ご参考になさってください。
 私は大変尊敬している囲碁終生棋聖の藤澤秀行先生の真似をしてみたいと存じます。彼は秀行塾を開いて、若手にご自分の碁の打ち方をすべて教えてしまいましたが、やがて自分のタイトルも教え子に奪われてしまいました。「秀行は馬鹿だ」と多くの人に言われています。ただし、太極拳の場合は基本が理解してもこれを自分の体で年数をかけて磨いていかなければ、太極推手などは上達になりませんし、私は何かタイトルを持っているわけでもありません。藤澤先生と比べれば心配事がかなり少ないです。
 願わくは太極拳が少しでも正しい方向へ行きますように
 呉式太極拳研究会 沈 剛

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