旧 太極拳よもやま話 未分類

理解

2014年3月12日

 これは中国語に対する理解とのことになります。私は太極拳を専門にして探求している人間であり、太極拳の文献では現在のところ中国語が原文であることが殆どですね。中国語から色々な言葉に訳された文献が世界中に広がっており、当然のように沢山存在している太極拳参考書の中では今日の太極拳探求者のご意見やご感想もかなりの割合で入っていることは分かっています。が、保守的な伝統太極拳では実はあまり先祖代々から伝わってきた「秘伝」に手を加えようと考える人があまりいないです。それは例えば毎日のように時間がない中でも何とか練習をして太極拳の真の大変さを味わっている人間であれば、太極勁が中々習得しづらい中で適当に太極拳を変えることが不可能であることが自然とわかります。師が太極拳論を説明し私達がこの説明をこのままして理解をすると言う様式は確かに、今日の近代社会では考え難いものであることも仕方がないです。そして、私の師は今日の色々な太極拳家の新しい理論に対して一度も批判したことがないですし、我々にも他所の考えをタッチしないように言い続けていました。理由は道教的では様々な太極拳理論がきっと出てくると、太古の昔から予測しており、道教の継承者としては自分自身も太極拳理論に対する「理解」が完璧になれない為、人様の理解を指図する筋合いがないとのことです。
 楊式太極拳と当派では、王宗岳先生直伝「太極法説」の元で解釈しており、同じ原理でも楊家と呉家の理解は少し違いを見せております。最近、ヨーロッパで流行っている武式太極拳赫和珍先生直伝の王宗岳太極拳理論も実に素晴らしい著作であり、一通り目を通したところでは当派の「太極法説」とは違う角度からのものであることがわかりますが、自分も少しでも余裕があれば研究してみたく存じます。なにしろ、太極拳の理論は中国語の古文で綴られているものが殆どですし、義務教育が文化革命と重なっていた我々にとってはかなりの難関であります。やっと古文に出会えたのが確かに中学校もそろそろ終わりの頃でしたね。12歳から太極拳の分野に身を投じた途端に、師より沢山の読めない文献を出されては手書きでそれを記録していました。質問は師との文通でこなしていましたね。そして、太極拳理論では古文の強い人でも中々理解に苦しいです。それもそうですね。先生によっても解釈が微妙に違ったりすつ為、太極拳論を杓子定規のような読み方では、かえて太極拳修練の足枷になってしまうこともしばし経験してきました。自分の経験では理解出来ない時は太極拳論から離れて、太極拳を練習してみることです。太極拳修練者が世界一強い武道家になるとの願望を持っているだけで強くなれないと、小説家の金庸先生が言いましたが、太極拳論を謙遜な気持ちで沢山の練習の中で消化することが強くなることを言っているような気がします。
 となると、太極拳を道教的な心身修練ではなく、スポーツとして取り組んでいくことも今日の私ならば理解出来そうな気がします。はっきり言って本当の意味で心身修練は近代人にとってはかなり未知の世界でありましょう。映画2時間、スマホ2時間、ノミニケーシュン2時間、お仕事が8時間(定年退職の方は別)。私達近代人は本当に時間がないですね。私の研究会の学生さんの殆どが出勤される前に太極拳の「盘架子」をしています。これは本当に私を駆り立てている一番重みのあるものですね。その方々は無理して理論を理解しようともせずに「盘架子」に力を入れている事は太極拳論に対する一番良い理解であり、当時の師馬岳梁も私に対して沢山の「盘架子」で理論を深めて欲しいとの要望は今になって私は学生にあまり教えていないのに、皆が自然とこれを守ってくれていることから、日本国民が太極拳にもっとも相応しい民族であることを証明されていますね。
 心身修練的太極拳であろうがスポーツ的太極拳であろうが、一つの共通の出発点と言ったら健康の為です。百歩引いて人間の健康を考えた場合では、西洋医学でも素直に人間が持つ機能を認め、人体にとって無理のない食生活が生き方をすることは近年、様々な研究が進められています。これもいずれ東洋養生術と西洋医学の間にいつかやってくる接点になりそうですね。太極拳に対して色々な理解があって当たり前ですが、理解する為に自分の体で太極拳論に問い合わせることできっと、良い答えが出てくるような気がします。ついでに、武道として太極拳を修練して行きたいならば、多くの他の武道と同じくもっともっと時間をかけなければなりません。

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