旧 太極拳よもやま話 未分類

狗皮膏薬

2013年8月3日

 これは中国民間の民間伝説で犬の皮を剥がして内側に黒い漢方薬を塗り、使う時は火で溶かして暖かいうちに患部に貼る薬のことです。中国人であれば誰でも知っている言葉ですね。およそ、民間の隠れた処方で主に中国安徽省などの洪水が多い地域の人々が自然災害で生計が立たず、都会にこの狗皮膏薬を持ち込み、街角で売ることが多いです。現在は警察や都市管理委員会の取り締まりが厳しく、簡単に露店なんかは出せなくなりつつあるが、実際のところは警察や都市管理の人間に月ごとに付け届けを出して賄賂で広範囲露店や乞食を行われているグループも存在しているようです。先日、とある都市の都市管理委員会の管理職が乞食グループの賄賂で実刑判決を食らっていますね。
 百数十年前の中国では、民間の整骨士が押し式車で移動し、色々な町で整骨の商売していました。著名武侠小説である「射雕英雄传」の一番初めに、当時有名な整骨士の丁一飛のことをふれています。当時の整骨士の皆も大半、狗皮膏薬を売っていましたね。
 中国人の悪い癖として、流行っているものは何でも真似してしまうことがよく上げられています。狗皮膏薬も例外ではありません。祖先より秘伝の処方を受けている方はよいですが、受けていない者まで狗皮膏薬の色と匂いだけを真似してはあちらこちらで売り飛ばしてしまい、特に体に害がなくても、狗皮膏薬全体の信憑性が無くなってしまいますね。それでいつの間にか狗皮膏薬は法螺吹きの代名詞になりました。でも、民間で素晴らしい効き目を持つ狗皮膏薬で儲け、お店まで出している整骨士もいますね。
 狗皮膏薬は主に街角で売られてきましたが、売主は客を引き寄せる為、必ず何かの芸をします。その殆どは武術や気功ですね。素手での石割りから釘を飲み込む迄、ありとあらゆる演出があります。中には自分の腕を刃物で怪我して特製の薬を塗ればすぐ治る演出も見たことがあります。
 20歳前後とある日ですが、呉式太極拳の兄弟子と出掛けて街角で狗皮膏薬先生の露店の前に足を止まり、彼の言葉を聴いて驚いた訳です。彼が言うには、あの揚子江の北から南に渡って来たのですが、彼が立っていて彼を引っ張って一歩も動かしてしまう人がいませんでした。要は、彼の武術基本である「馬歩」いかに凄く、誰も彼を動かせないことですね。若い兄弟子はそれを信じ難く、彼の手を軽く引っ張っただけで彼は3歩も前に動きました。(おそらく、粘勁を使ったのではないかと)彼の顔は忽ち赤くなり荷物を片付けて去っていました・・・。
 武道も薬も本物でないと狗皮膏薬になってしまうので、世の中のどの分野も責任を持って本物を提供することを中国社会に呼び掛けたいですね。
 写真:狗皮膏薬の現場

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