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太極固有分明法

2014年2月18日

 祖先全佑先生が太極門入門後、楊班候先生直伝「王宗岳太極法説」にこの「固有分明法」が言及されており、楊式太極拳や呉式太極拳の数人が著書迄大切にしておりますが、先般の「授受論」でも言及致しました通り、例え同じ師の元で修練しても拳法や理論で実に沢山の相違点が現れ、今日のように様々な太極理論が乱立する様と化けてきました。わたくしは如何なる場合でも、「太極法説」を師呉英華、師馬岳梁の伝授ノートの元に解釈し、自分の考えを入れない方針の元で、色々な方に教えています。
 太極固有分明法原文は以下の通りです。
 盖人降生之初,目能视、耳能听、鼻能闻、口能食,颜色、声音、香臭、五味,皆天然知觉固有之良,其手舞足蹈于四肢之能,皆天然?畚动之良。思及此,是人孰无?因人性近习远,失迷固有。要想还我固有,非乃武无以寻?畚动之根由,非乃文无以得知觉之本源,是乃?畚动而知觉也。
 夫?畚而知,动而知,不?畚不觉,不动不知;?畚?巽则为动,觉盛则为知,动知者易,?畚觉者难。先求自己知觉?畚动得之于身,自能知人;要先求知人,恐失于自己。不可不知此理也,夫而后?条劲然也!
 また、私なりに解釈してみたいと思います。
 人間は生まれてすぐに目が見えて、耳が聞こえて、鼻も臭覚があり、口は食事が出来るのです。色、匂いを感じるのは私達が本来、備わっている知覚能力です。手足の色々な動きは四肢の元々の能力で、これも生まれつきに備わっている能力です。そう思えば、人間であれば誰でもこの様な能力を持っています。しかし、儒教の研究にもあるように人間は性相近、習相遠(先天的な自然力と後天的に染められていくもの)と言う習性があり、本来あるべき姿(固有)を見失うことがあります。本来の姿に戻りたいならば武を使う時の動きの元を探しても、人体本来の感覚を求めてもいけないです。自然な動きから人体の感覚と言うプロセスが正論です。
 と言うことで、気が自然に動けば、体が自然動けば人間は本来の感覚に戻ります。機能的と気的に自然な動きに伴わない動きはすべて無駄です。体が合理的に動けば脳も常に動き、感覚が豊かになれば理性も生まれます。脳と理性でもって体も簡単に動くのですが、ただの身体的な動きは難しいです。太極修練者はまず自分自身の動きからの感覚を把握すれば、自然に人様の動きも知るようになりますが、もしも、先に人様の動きを研究すると、自分に動きが習得出来なくなる恐れがあります。どうか、これを知ってください。そうすればいつか自然に勁がわかるようになります。

 皆様、いかがでしたか。
 太極勁と言う抽象的な名詞はこれで少しは具体的になったような気が致します。この固有分明法はもはや私達に生まれつきの感覚と素早く反応する脳と言うものを勧めていますね。自分の長い太極勁修練の中で感じたのも、太極勁の理想形はまさにこれですね。ただ赤ちゃんの軟らかさがあってもいとも簡単に攻撃されて敗れますし、脳や素早く反応出来ても体が動かなければ同じく敗れ去られてしまいます。
 そして、結果的に申し上げますと赤ちゃんのように人間本来の感覚が備わっている方でしたら脳の働きも結構活発しているはずです。近代医学の権威の研究で脳に何かの疾患がある場合は身体機能にもきっと何かのアンバランスが生じているとの見解は調べによってわかりました。(福島孝徳脳外科教授 1942年~)

 数千年と時を経て、道教と近代医学はほぼ同じ結論に至りました。
 固有分明法を是非、一人ひとりの太極拳修練の中で実践してみてください。もっと詳しい説明は当家の一部の者か楊式太極拳家元の一部の方に問い合わせ頂ければ幸いです。

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