旧 太極拳よもやま話 未分類

太極は重心がかなり不安定な芸術

2013年11月3日

 先般、王宗岳師の弟子で蒋髪師が楊式太極拳創始者である楊露禅師に伝授した「太極法説」の中で重点的に言及された「太極陰陽顛倒解」を四方山や自分の研究会で説明したところ、かなりの反響があり、特に「顛倒」とう中国語の言葉について多くのご質問がございましたが、「顛倒」とは日本語で真っ逆さまのことです。要は、太極的考えでは我々が慣れ親しんでいる体の様子を引っ繰り返せば、丁度宜しいという感覚でございますね。本日は重心について少々考えてみます。
 結果から申し上げますと、道教的考えではしっかりと両足で地面に踏み込んで、体重を載せる時の重心は実は一番弱いです。そして、冒頭に申し上げた「太極法説」の中では、これについてはっきりとした一つの項目があり、太極修練者の一つの問題点として「双重」と名づけています。そして「太極法説」では太極的重心についてはこのように説明しています。重心は一つしか有り得ないです。そして、一つの重心にしても一つの面ではなく、上級者の太極重心は一つの点になります。一つの点であれば常に動けるからだとも説明しています。
 だが、はっきり申し上げますとこれは若き沈剛も信じませんでしたよ。推手時常に一つの重心しかない推手ってどうすればよいでしょうかねと、常に師馬岳梁に問い続けていました。馬師は忍耐強い者で私に何度も説明し続けていましたね。馬師に言わせれば「現在の貴方が出来なくても、常に太極修練時一つの重心に心がければ、いつかはこのような成果が出てくるよ・・・」と、今日になってこのような話しを研究会の皆様に普通に申し上げていますが、やはり、39年間の太極修練で自分もいつの間にか一つの点である重心について少々、理解出来るようになってきたことになりますね。勿論、「太極法説」に言われている「双重」の病も度々、犯しておりますが、研究会の皆様との推手の中では、一瞬にして上手く隠しているだけの恥ずかしい話しですね。勿論、わたくしは研究会の一般の方々との推手の中でも無理して自分の重心を保とうとしませんし、自分自身で色々な間違った推手の真似や一般的な推手の間違いの真似も常に行っており、皆さんには自分自身の身で実験台変わりにするのも全然珍しくないです。わたくしはこうすれば、一般の方々も簡単に実戦的な太極推手を素早く身につくことが可能だと信じていろます。
 そして、わたくしは近頃、プロも一般も問わず、太極拳修練時もなるべく一つの重心へと導く為に、皆さんが太極基本拳修練時において、体を部分的に人為的に校正することもするようになりました。いわば、修練者の体に一部分を軽く触って、その位置を微調整することになります。勿論、女性の方に対してはわたくしという男性の手で直接触るのではなく、なにかの小道具で軽く触らせて頂いております。現在のところ、皆さんの殆どは触った瞬間に重心を失い、軽く一歩動くことになりますね。これで少なくとも当呉式太極拳研究会では、道教的太極拳は常にギリギリで重心を取ることに努めていることが理解出来るようになりつつあります。これはわたくしが太極拳研究会を立ち上げてからの最大の収穫と言っても過言ではありませんね。
 そして、私がこのように「四方山」でベロベロと太極本質的かつ秘伝的な話しをすると研究会の若い方々がまた心配してくれますね。このようにして自分たちの推手や太極拳の特徴を公にするといつか、他流派の方との推手の交流の時にかなり不利ではないだろうといつものように私は真面目な青年達に教わっていますよ。でも、ご心配なく、研究会で勉強しているプリも一般も、一つの重心にはまだ程遠いですね。ならば皆さんの推手も少なくともあと十年では「双重」のままでしょう。
 私?私が他流派に押し出されていたら素直に自分の弱さを認めるしかないですね。

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