旧 太極拳よもやま話 未分類

どこの太極拳も簡単ではない

2014年2月23日

 世界中に太極拳簡単論が広がれていますが、太極拳と言う拳法とも健康法とも言えない、単純な気功術とも言えない独特な「拳法」は果たして多くの皆様が言っているように簡単でありましょうか。私はこの世の中のすべての稼業や分野に於いて簡単なものは一つもないことを昔から強調してまいました。世界的に言われている簡単なのは日本での専門学校による資格です。二年間の学費があって、出席率はある程度達成して担当の先生と仲良くして、リポートをきちんと出して、そして実習ですね。ある程度のお金があれば二年間の学生生活を楽しんだ後はほぼ自動的に資格が得られます。勿論、そうではない専門学校や短大もあることは自分が日本で四半世紀を越す滞在歴で色々とみてきました。これで諸外国の人々の話しをどのように聞くことも同時に勉強出来たとのことになりますね。でも、本日は主に武道の話しと太極拳の話しになる為、世間一般の話しとも若干違ってきます。武道の世界では昨今はやりのお子様武術教室などの幼少期教育を除き、遊び感覚では身に付く可能性はゼロに等しいです。
 今日の世界に太極拳がいくつの流派があって、いくつの連盟があって、どのような目的であろうが太極拳と言う武術と言うべきか、武道と言うべきかがはっきり分からなくても、武と言う文字と少しでも関係していれば、その太極拳の艱難辛苦は並ならぬものでありましょう。これは太極拳と言うものを拳法として修練する人間でしたらどなたでも感じているはずですが、太極拳の特性からもこの難しさを物語っています。
 一般的には太極拳と言う拳法を二つの大きな流れとして考えている者が多いです。一つは力戦型です。太極拳は長い間に於いて多くの先人の個性や勁の感じ方により、本来の「以柔克剛」より少々ずれている流派もあり、これはこれでいくつの世代を経ての努力の結晶であり、わたくしはいつでもその方々を尊重してまいりました。しかし、力戦になると毎日の内勁の訓練が勿論、軟らかさを少し欠いている状態での戦いは当然にようにテクニカル的な訓練と工夫も当然、必然的になってきますし、日々の反射神経の訓練も欠かせないでしょうね。当然のようにゆっくり動いていても常にすべてのポイントに於いて「太極四病」を最小限に抑え、太極勁の運用も常に落ち着きの中で行われることとは違い、力戦型の太極勁は様々な条件や人の高齢化などにより十分に発揮出来ないことは事実です。そしたら、一番理想とする太極拳は私的には太極勁型になります。当然、これははっきり申し上げるとあまり簡単に習得出来ないものです。となると今日の世界の太極拳界隈では力戦型太極拳は圧倒的に多いはずですね。しかも、太極勁型太極拳ゆあ推手も制限されており、例えば太極勁がまだ最上級に達していない実力相当の人間同士であれば、その時に限って力戦で凌ぎを削ることになってしまいます。これも太極勁の未熟とのことになりますね。テクニカル的な力戦も時折必要になります。反射神経の訓練も太極拳の必修科目の一つですが、でも、あまり毎日のように力戦で推手をしていたら体全体の軟らかさの訓練が遅れてしまう恐れがあり、力戦の中でも常に太極的柔化を心に刻み、人の推手欠点よりも自分の硬直や「太極四病」を少しずつ直していくことが大切に存じます。特に教える立場の人間が自分の欠点を知ることが出来なければ、著しい進歩がなく、太極勁修練の足枷になってしまうケースもかなり多いです。特に太極推手の場合は自分自身のよりよい状態で相手様に少しでも太極勁を実際の形として伝えることが大事ですし、自分の太極柔化が人様の柔化に繋がるなら最高の出来になりますね。道教的に言うと人と共に進歩していくことになります。
 はっきり申すと今日のどの流派に中にも力戦推手がかなりの割合を示しています。勿論、どこの流派もよく努力していると思いますね。だって、太極門を背負っているからですよ。中国の場合は10年間の大動乱もあって太極拳資料の保存状態はかなり杜撰です。この中でかつての少林高僧海灯法師がおっしゃることを思い出しました。そろそろ、流派の垣根を取り除く時が来たかもしれないですね。どの流派も艱難辛苦を経験してきていますので、太極門の中ではせめて一つになって頂ければ幸いです。しかし、どこからどこまでが太極門と言う問題は私も答えるのを控えさせて頂きたいです。

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