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武道としての太極拳

2012年11月5日

 太極拳は本来、身を守る為の武術としても多くの人に親しまれていました。ご存知の通り、道教の道士達は大体、山の上や山奥へ見を潜み、静かな環境の中不老不死の術を探していました。勿論のこと、山奥はいろいろな獣がいるし、強盗も善良な道士を狙っていました。太極拳の前身として最初は《小九天法式》という気功法があったが、練気術である為攻撃性が乏しかったのです。その為、道士の皆さんは練気術の基礎の上で見を守る拳法を研究してみました。道教の原始的な拳法がおよそ《三十七式》や《後天法十七式》などがありました。中国明朝の時に道士張三豊師は研究を重ねた結果、道教拳法は十三種類のパワーで成り立っている学説を訴え、あまり規範化されていない《三十七式》と《後天法十七式》を十三種類のパワーで表現し、無理せず、相手が攻めてくる力をかわすいかにも道教的拳法が誕生しました。最初は《十三勢拳》と言っていましたね。張三豊師は《三十七式》のいくつの技を連続して攻撃すると効果的に思い、更に大事な技を繰り返す練習する為、重複してわりと短い《三十七式》を現在の長拳108式を編集しました。これは民間にも流れており、最初の陳式太極拳となったのですが、ただ、同じく108式の中でも、練習方の違いでおそらく複数の太極拳拳法が存在していました。(現在、陳式伝統太極拳は2種類、呉式太極拳も2種類)

 長い中国歴史の中で多くの文化遺産が失ってきました。封建社会では暴政で、共産中国では文化革命、改革開放の中で若者は西洋文化と先進技術を好むのは良いことですが、本格的に太極拳を武道として練習する人がかなり減りましたね。当時、楊式太極拳創始者の楊露蝉
師が陳家溝で10種類の太極拳を身に付いたと言われています。呉式太極拳創始者呉鑑泉師は楊式太極拳の大架と小架を学びましたが、小架の基礎で、更に道教太極拳《三十七式》で楊式太極拳を補い、古典的に一番近い太極拳を編集し今日に至るまでです。現在、呉式太極拳では快架太極拳も一部の者が練習しており、これは従来の楊式太極拳とあまり変わりがありません。残念ながら、現在の楊式太極拳伝人達はもうこの太極拳を知らないといいます。

 また、太極拳を名づけたのはおそらく張三豊師の弟子の王宗岳でありましょう。王師は大の研究家でもともと、民間の太極拳流派の子孫でもあります。王師の弟子の将発師は陳式太極拳の子孫の師になっていたことも歴史に記載されており、楊式太極拳楊露蝉師も間接的に将発師に師事していました。
 はっきり申し上げますと民間伝統太極拳はかなり脱線していました。現に道教太極拳の拳法名称と民間伝統太極拳の名称がかなり違ってきています。中国という国はいろいろな新しい太極拳を認めています。真の武道としての太極拳は何処へ!一人の伝統太極拳の伝人としてはかなり危機感を感じています。本格的に強い道教太極拳を学んでいく方が現れてくることを祈るばかりです。

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