太極拳は他のどの拳法とも違います。太極拳は自ら人を攻撃することはありませんし、自分の重心を失って人を攻撃することもありません。太極拳の目的は皆様もご存知のように健康で老いることです。そして、強い敵をかわして自分の身を守ることも出来ます。太極拳は弱い人々の拳法です。ということで太極拳が足で蹴るという動作の時には決めた特徴があります。これは、足が自分の腰を超えないということですね。弱い人に合わせる為にこのようになりました。勿論、前回のよもやま話で申し上げた通り、足が真っ直ぐになることもありません。
では、強い人が太極拳をやれば、足を高く蹴ってもいいではないでしょうか?いいえいいえ、同じです。強い方々は勿論、老いた方々や体の弱い方々と比べ身体能力が高いですね。(余計なことを申し上げてしまいました!)太極拳の基本も把握出来ているはずです。では、説明がもっと簡単です。力いっぱいで蹴り上げると筋肉や靱帯も余裕がなくなります。太極拳が常に余裕を保たないといけません。筋肉、靱帯の余裕、相手をかわすスペースの余裕、そして、なにより、足を蹴り上げ過ぎると重心を保つ余裕もありませんね。
今回、例を上げさせて頂いたのは鄭子太極拳創始者鄭曼青先生の太極拳写真でございます。腰より低く、自然に曲げたまま・・・。やはり美しいですね!