多くの皆様から「意」とは何?とのご質問が沢山、来ています。「意」は太極拳のみならず、他の拳法にも存在します。「意」は一般的に体の動きがあまり見えないのに、体の動きとは無関係で無形のパワーのことを指します。武道流派によっては「気」であるというふうに説明する場合もあります。でも、気で相手を飛ばすことはそんなに簡単ではありません。私は太極拳を約50年間修練してもあまり強い気を感じませんが、まして人を飛ばすなんてとんでもないですね!という訳で「意」は「気」であるとの説もあまり説得力がありません。
ここで、師馬岳梁との推手の経験談をさせて頂きたいですが、馬師はいつも物凄い軽い推手をしますが、我々もその影響でなるべく軽い推手をしますが、師はいつも我々よりももっと軽いでした。時々押し出されても師の動きが全然見えませんでしたし、力の出所も分からないでした。師にこれは「気」ですかと聴くと、「太極勁」だとの答えが出てきたのです。そして、力まないようにといつものように進められていました。馬師の解釈はこうです:「相手が察知出来ない動きならば力まなくても人をコントロール出来るので、これは「意」の完成に近い…。」我々はその当時は中々理解出来ないのですが、今になって人様と沢山の推手を交わしてきて、師の言葉が以前よりは少しは理解出来るようになってきました。
「太極勁」は力むことを禁じています。当然、手が軽い人が多くなりますね。ただ、動きが激しいと手も自然に重くなりますが、では、太極推手を行う際はどう考えても動きをなるべく小さくして、出来るならば人に察知出来ないような小さい動きでしたら手の軽さはなかなか、よろしいものですね。極端な話し、殆ど動いていないような小さい動きでし
たら、「気」ではない高級段階の「太極勁」になり、おそらくこれが太極拳の「意」になります。基本拳と推手を毎日のように練習していればいつかはこのような高級段階の「太極勁」を身に付くことは不可能ではありませんよ。
皆様、一緒に頑張りましょう。
太極拳の意とは何?
2013年5月11日