現在のところ、多くの皆様が所謂「四正推手」を練習されています。これは両手で円を書くようにしてぐるぐる回っていく推手ですが、これは一般的に太極拳本系本元では「圓形推手」と名付けています。インターネットが繁栄している時代で検索をすると様々な説が出てきますが、楊式太極拳創始者である楊露禅師の太極推手は現在の「圓形推手」ではなく、「如封似閉」型の「打手」と言う技術を用いて太極拳の攻防を練習していたことは、楊式太極拳直系の型々より伺ったことがございます。楊家のご家族も呉鑑泉以前は所謂「圓形推手」がなく、楊式太極拳の二代目である楊班侯師、楊健侯師、王蘭亭師の三人も「如封似閉」型の「打手」を練習していました。これは呉式太極拳三代目である呉公儀師も証言しております。(呉公儀は楊班侯より多くの拳法や技を習得していた)
近代太極拳のどの流派も王宗岳師の弟子の蒋髪師の影響を受けており、蒋師の「太極説法」は現在、当派の呉公藻師が出版致しております。その中では太極拳に纏わるすべての理論がまとめられていますが、
「圓形推手」のような文字は出てきません。現在、呉式太極推手の技の多さでかなり有名になっておりますが、これは呉鑑泉師が道教宋遠橋十七世である宋書銘師の太極推手を学び、伝統的「如封似閉」型の「打手」と合わせて改良した結果であります。今日に至る迄は六流派の本系本元の中では一応、暗黙の了解で互いに認めていますが、昨今、中国のインターネット上ではこれに纏わる文章が沢山出されており、日本に伝わってくることもそう遠くはないでしょう。私も思いっきりして日本人の皆様にお話ししておきたいです。
結論、現在の多くの型々が練習している四正推手は「圓形推手」になります。これは呉式太極拳創始者である呉鑑泉師の研究結果であります。呉鑑泉師以前では推手ではなく、打手と言います。
楊式太極拳では現在のところ「如封似閉」型の「打手」を修練している方は殆どいません。かつての楊式太極拳では「如封似閉」型の「打手」を始め、楊澄甫師は研究を重ねて、「大節髄推手」という呉式太極拳にかなり近い推手も練習していました。実際のところ、楊澄甫師が呉鑑泉師より推手を学んだ話しもネット上ではかなり出初めていますが、根拠がないので、これは一つの推測にしておきましょう。
ちなみに、楊式本系の方による「如封似閉」型の「打手」の修練を一度だけ見たことがあります。基本拳一つひとつの技が「打手」となり、かなり素晴らしいものでしたが、現在はこのような技がどこも見当たりません。
この辺の話しに興味があれば、是非以下のページをご覧下さい。
http://zongyuemen.laoist.com/index2.php?option=com_content&do_pdf=1&id=287
大変残念ですが、中国語のページです。辞書を引きながら読んでみて下さいね。(※2016年現在、リンク切れ)
太極打手から太極推手
2013年5月28日