太極拳という運動は疲れるのでしょうかと、私は初心者の方々との話し合いと時には、必ず最初はあまり楽ではないと申し上げております。特に呉式本系のような太極拳は簡単そうに見えていて実質は普段、動いていないところとその独特な骨盤を動かさない腰の回し方で、はっきり申し上げますとあまり楽ではございません。私のところに通っている太極拳プロの先生でさえ、呉式をやっていて顔色が真っ青になったことがございます。では、一体このような出来事は何故だろうかと聴かれると原因は様々で一言ではなかなか答えられませんが、出来る限りの原因を並べてみたいです。
原因一、長い間の人間的怠惰から来るものです。私は太極拳家族の一員ですが、叔母の黄立元氏が呉英華の弟子である位に呉式本系の中でも珍しい位ですが、ただ、師匠がどれ程凄い人間でどれ程の凄い技を持っていても、弟子のようがあまり練習しないなら、またはきちんと師の要求通り動いていなければ、師も怒りながらお教えするのも無理に近いです。自分のもう一人の叔母も呉師の個人レッスンで学んだりしていましたが、呉師が振り向くときつい曲がっている足を伸ばして休んでいたそうです。私は呉師の教室を長い間担当したことがあり、多くの方は時間と共に体勢を少しずつ高くなり、最後は殆ど立っている様子でした。70代80代のご年配の方だったらまだ許されていますが、私の上海の教室は半分以上は若者でした。若い方ですが、太極拳基本拳の最初から高い体勢で入ればよいです。何とか頑張って最後迄同じ高さを保つことはさほど難しいことではないはずですが・・・。
原因二、中国国内の動乱により伝統太極拳の資料紛失で生じた太極拳全般の型崩れは確かです。文化や他の革命や動乱で数多くの太極拳写真や資料が破壊されていて、参考資料がなければ太極拳本来の守るべきものが緩めてしまうことは致し方がないと思います。正直に申し上げると昨今の太極拳は簡単すぎていて、色々なところで体を休ませることは可能ですね。しかも、どこの太極拳を見ていると実に速いです。私は伝統拳の108式を速くても40分をかけてゆっくりやりますが・・・。
原因三、競技太極拳の体育性で太極拳が更に簡単になりました。
この世に競技太極拳が誕生したのが1950代の話しです。これは北京体育大学の研究成果でありますね。体の弱い方の為にとの考えは間違っていませんし、太極拳を短縮させたことも良いです。太極拳をスポーツ化して体を動かす項目に変えたことも非議はいたしませんが、但し結果、私のところで三回の無料体験を申し込んだ競技太極拳の方々は悉くと言っていい位に挫折しており、最初から難しいの連発でとどのつまり、通わなくなる始末が一般的ですね。
では、呉式太極拳って疲れる太極拳ですか?いいえ、そうでもないですよ。上海鑑泉太極拳社正会員の中には80代が沢山います。私が現在、教えている方々の中にも90代の方を含む人生の後半に差し掛かっている方が殆どです。(私も人生の後半)動きは難しいですいが、慣れればそうでもないです。もの凄い低い姿勢も求めておりません。ただ、同じ高さで通すことだけですが、そんなに体力が必要がないです。
何事も慣れが大切のようですね。そして、呉式を試そうという方に申し上げたいですが、最初もこの難しい時期を過ぎれば、体が今迄にない軽さを有することになります。
何事も最初が難しいですね。
太極拳は疲れるですか。
2013年7月27日