旧 太極拳よもやま話

太極勁

2013年11月1日

これは私がこの国で異色扱いされている代名詞でございます。簡単に申し上げますと私は四方山の場で何回も太極勁のことを説明しており、これはたまたま、現在世界中に広がっている説明とはかなり違うようです。この頃、呉式太極拳の推手が伝統太極拳の中では結構強いなどの噂も経っておりますが、勿論、誰も呉式太極拳の本当の推手のことを体験していない間に、数十年の時間が簡単に立ってしまいましたね。そして、日本は法治国家であり、簡単に推手の交流をして怪我でもしたら確かに互いに面白くないでしょうね。但し、今日世界中に広がっている「相撲型」推手や「レスリング型」推手は実に怪我し易いですね。今日では上海では、推手をして互いに不愉快になって、人間関係がおかしくなることも珍しくないです。私のかなり露骨な言い方で大変申し訳ないですが、これは「太極勁」という言葉を無視した結果でございましょうね。

太極勁のことですが、王宗岳師の弟子で蒋髪師が楊式太極拳、陳式太極拳、武式太極拳に全く同じ文献を残してくれました。これは「太極法説」といいます。現在はインターネット上で複数のサイトにアップされており、私も以前の四方山話で色々と力の限りの説明をいたしました。私達呉式太極拳は蒋髪師より直接頂いたのではなく、楊式太極拳の二代目弟子の楊班候先生より伝授されました。その為に私達呉式太極拳の弟子はいつの時代に於いても楊式太極拳に対し、最大の敬意を表しておりますね。

でも、昨今の伝統太極拳のどの流派(呉式含む)を見ても「太極勁」をきちんと研究している者は殆どいません。理由は簡単です。所謂「太極勁」の習得はもの凄く時間がかかりますね。「太極勁」はもはや近代人にとってはかなり面倒臭いものになってきましたね。

1987年に上海の復興公園で起きた大事件ですが、当時の楊式太極拳褚桂亭のお弟子さんの王荘弘さんと流派不明の推手の達人が「推手」の「交流」をしましたが、互いに一歩も譲らずに到頭、喉に手をかけて絞めあうことになりました。二人とも顔が紫色になったところで警察が来て、やっと止めたのです。

先月、私が私用で上海に一週間滞在しましたが、実に様々な推手を目にして、感慨千万でしたね。なんと、呉式太極拳同士も首を絞めるような荒い推手をやっている人がいます。悲しいですね。呉式太極拳推手は元々、「虚」と「軽」と「霊」を物凄く大切にしており、紳士的な推手が常識的に行われることは当たり前でしたね。何故か我が呉式太極拳も近代化の浪に捲かれ、何事に於いても即効性を最優先に物事を考えるようになってきました。私は敢えて同門の者に「太極法説」のことを伺ってみましたが、知っている者は実に少ないでした。何人か「太極法説」のデータは持っているようですが、中の内容を聞いてみると全然答えられませんでしたね。

断言しますが、呉式太極拳の推手が伝統太極拳最強という伝説はもはや過去の歴史になりました。多くの家元弟子が基本拳の練習を怠り、推手時は基本を無視し力勝負で相手を押し倒したり、首を絞めたりして、少しも道教的な大人しい風貌がございません。

大変申し上げ難いのですが、他の流派の推手も似ったりよったりですね。本来なら私の自分の流派の恥を晒したところでは他人のことを口にする資格なんかございませんが、太極拳の為には本当のことを通して置きたいだけですね。どうか、この愚か者をお許しください。

「太極勁」とは、十三種類の太極的内勁のことです。一般的に「十三勢」言います。
 「十三勢」はそれぞれ、粘(沾)、黏、連、隨、不頂丢、掤、捋、擠、按、採、挒、肘、靠になります。十三個の姿勢があるのではありません。

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