皆様はこのようなテーマをご覧になった瞬間にすぐに飽きてしまいそうな気がしますね。太極拳をやれば健康になると日本国だけでも四百万人が現在、津々浦々で毎日のように太極拳を楽しんでいます。行政を挙って太極拳を勧めているところもあり、この私が首都圏の中ではたったの四千分の一程の太極拳師範で太極拳と健康を語っても本当はどうしょうもないですが、でも、実は最近、私はかなりの方より健康相談を受けていますね。しかも、非常に驚いたのが健康相談の相手様は皆、太極拳をやっています。ことの始めは私が太極拳を教えている傍らに整体も少々携わっており、馬岳梁直伝の呉式太極指針気功術で数人の整体をしていたら、その口コミで相談してくる方が現れています。勿論、私は整体を専門にしていないですので沢山の患者さんを見ることは不可能ですね。ということでその方々の状況を聞いて、定期的な整体をせずに生活習慣を改善するだけで治るのであれば、その助言をさせて頂き、自分がもっと多くの方に太極拳を教えていけばと考えたのです。そして、いつものように訪ねて来た方々には面談してその生活習慣を伺うことにさせて頂いております。
そしたら話しを色々と伺っていると、その数人の方は専門の整体院にも通っていることがわかりました。この時点で自分としては結構不安でいっぱいですね。他の整体院の先生が見ていて治らない訳ですので私ではそうなのでしょうかねと、整体に関しては到底、呉式太極拳の専門分野外のことですね。でも、折角いらっしゃってくださった方の話しだけでも伺おうと思う自分はいつものように親切に伺うことにしています。そしたら、本当に一般の生活をしていて特に何か変わった悪い習慣もなく、膝や背中、腰の痛みはどこからくるものだろうかとかなり自分も悩み始めたところ、ほぼすべての相談者が太極拳をやっているからその太極拳を一節でもよいから見せて頂けますでしょうかとお願いして、観察することにしたところ、非常に驚いてしまいました。なんと、膝などの痛みは太極拳からきました。しかも、伝統太極拳から競技太極拳までありとあらゆるですね。勿論、ネットで名指すことは自分の良心に反しており、非道徳的な行動でもある為、遠慮致しますが、但し明らかに人々に体に害を加える太極拳に対して自分なりに指摘をしなければ、太極拳師範を務める必要も無くなるわけです。自分の責務ですね。
数人の相談者の太極拳を拝見しているとまずいくつの共通点があります。上半身を回転する時に腰の動きがかなり少なく、骨盤から膝までを使っての回転がメインです。そして、太極拳の分脚などで片足を上げる時に軸足がまっすぐに立っていることです。この二点ですが、自分の太極拳分野に於いても、近代医学で整形外科医の友人に訪ねても、免許を持った整体師の話しを伺っても何故か皆、同じ結論で統一しておりますね。人間は骨盤の動きによって回転すると医学的には大腿骨と小腿骨の半月板(膝)に膨大な負担をかけてしまいます。そして、片足を地面から離れる時は全体重が片足にかかっていますね。そして、人間の足の半月板は足がまっすぐに伸びた位置の時の軟骨が一番薄いであることも放射線の発達で分かっています。勿論、軸足を曲げて片足を上げることが一番安全ですね。本当に不思議ですが、様々な間違った太極拳を見ていてわかったことですが、両足が地に付いている間は誰も足を曲げて動かしていますね。何故、片足になったところで急に足を伸ばすのでしょうかね。整形外科医が人類の膝が長持ち出来る歩き方を教えていることは皆様、ご存知でいらっしゃいますか。
一、骨盤を左右に揺れながら歩かないこと
一、跳ねながら歩かないこと
一、大き幅で蹴って歩かないこと
一、両足を真っ直ぐ前を向いて歩くこと
私が相談した数人の方を見ていると、どなたもこの四カ条を無視したものばっかりですね。そして、このような御太極拳で怪我の原因になっていますよと、告げると殆どの方が「まさか…」と答えて私のところを去っていましたね。中には正直な方もいて、私のことをヤブ医者と言い残す人もいます…。これはこれで私は全然怒ることなんかはしませんが、元々医者ではないですもの。そして、私が皆様の太極拳が間違っていると話すと私の太極拳「免許」を調べようとする方もいます。こういう時は私は現在の日本に太極拳という国家試験が存在しないことを説明するようになりますね。それでもうちの先生が免許を持っていると言い張る方もいますね。
どの流派、どの組織であれ、わたくしとは無関係で特に言及もしたくないです。道教継承の太極拳や多くの太極拳師範の太極拳は少なくとも医学や近代科学と殆ど共通しています。せめて、人々に害を加える太極拳は自粛していただきたいものですね。
太極拳と健康
2014年2月19日