この頃、中国などで開催されているアジア大会などでは、太極拳という種目があり、日本人の方もメダルを取るようになりました。これは大いに結構な話しです。スポーツ的太極拳を訓練し、その身体能力が評価されている証拠です。スポーツ的太極拳と道教的伝統太極拳の区別や真偽の話しはさっておいて、例えスポーツ選手にしてもスポーツ的に謙遜な気持ちが必要に存じます。サッカー選手は負けた試合に関しては自分の責任ですなど反省するし、次へ繋ぐコメントをするのは普通です。私が知っている伝統太極拳の世界では、とにかく太極拳は常に未完成の物事だと強調され続けています。日本武道の方々とのお付き合いもしており、武道は完璧がないことは誰でも口にしていますし、武道仲間に対しては礼儀を尽くすことが世界のどの国にとっても大切な「武徳」でございます。日本の柔道も「徳」を大切にしていますね。
ところで先日、呉式太極拳4代目家元弟子で馬岳梁に師事していた私の同門の一人が長い間お教えしていた日本人の者が、某アジア大会でメダルを取得した偉い選手さんに挨拶をしたところで、中国民間のわけの分からない人間より太極拳を学んできた者とは付き合えるものかと言われ、交流を門前払いされました。同門の学生の日本人は現在、先生が亡くなった関係で私のところで引き続き勉強しておりますが、彼の太極拳や剣、刀、槍はまだ修正点があるとは言え、推手の実力ではおそらく現在の日本人太極拳修練者の中では一位二位の強い方です。推手が殆ど出来ない競技太極拳のメダリストに一方的に交流を断られることであまり愉快な気持ちではないことが私は察しております。
自分も競技種目の人間と交流しようと思ったことがあります。正直に競技の皆様はあまり伝統の人間と一緒にいると連盟や法人の中で色々と問題を起こしてしまうことがあります。全く違うからとか伝統のことはよく分からないとか、色々とご丁寧に交流を断ることが多いです。
ただ、今回は「貴方誰?」という感じでしたね。太極拳修練者にしろスポーツ選手にしろ、このような傲慢さはこの方の足枷でしかならないですよ。貴方は今は若くて、かなり低い姿勢での競技種目が出来ていて、確かにメダルは取れましたが、10年後の貴方はまだ今のような「太極拳」が出来ますでしょうか?私は貴方の背中や膝はもう問題だらけだと断言いたします。何故かと言うと競技太極拳は道教基本理論や太極陰陽顛倒説にまったく正反対のことをやっていますので、皆が多なり小なり問題を抱えています。このような傲慢な態度で太極拳家元の学生さんに失礼なことをおっしゃるのは、5000年の歴史を持つ太極拳に泥を塗ることになりますね。気をつけましょう。
このわけが分からない者は馬岳梁の直弟子の学生です。馬岳梁のことも私が教えた方が宜しいでしょうか?馬岳梁は中国太極拳巨匠で中華功夫のすべての拳法を通して総合的に強い者です。中国功夫のトップとの呼び声がかなり高いですね。これだけ学習して頂ければ幸いです。
馬岳梁は98歳で他界しましたが、事故死でした。
競技太極拳お作った李天驥様は何歳まで生きていたのでしょうか?これだけ比べれば、伝統太極拳を馬鹿にすることはしないでしょう。
太極拳のメダルは如何程?
2013年9月10日