伝統呉式太極拳では3セットの剣があり、それぞれ乾坤剣、七星剣、連還剣というふうに名付けています。無論、これは宋遠橋十七世より教わっていたものだと言い伝えられています。現在楊式太極拳の本系の一部の方の中で剣の85式が修練されておりますが、照らし合わせてみるとかなり違いがあり、同じ出処とはなかなか思えません。
呉式太極拳は元々、虚と静、そして自然体を求める道教本系太極拳に非常に近い流派であり、「四両抜千斤」を最優先に鍛えている流派です。一般的に外家拳の方から見ていると例え馬岳梁師、呉英華師でさえ「内勁不足」ではないかと言われる程の自然体です。両師がかなり高齢の時は通常、太極拳や剣の修練時もかなり虚、静、自然体の集大成になっている関係で、本当に遊んでいるように見えてしまいました。馬岳梁が94歳の時もかなり強い外家拳の先生の挑戦を受けていたが、簡単に飛ばして挑戦を終わらせた次第です。
わたくしは最初、剣をただの武器だと思っておりましたが、20数年練習を重ねたところで悟ったのが、太極武器を修練すると体の筋がかなり伸びるようになることです。勿論、これは体の殆どの部分がぴたっと止まったままで体の一部分だけを回転するとか、または両足を内側で交差しかなり低い姿勢によって全体の筋が伸びることになります。
本日アップした写真ですが、呉式太極剣の七星剣の中の「盘根指雁」になります。この50才のわたくしがまだ何とか地面すれすれまで座れますね。当研究会で学んでおります60代の女性の方もほぼ同じ位の柔らかさがあり、将来的に剣を練習する際迄、何とか保って頂けたら嬉しいですね。この「盘根指雁」のような姿勢を常に行っていると推手時の柔らかさにも大きなお助けとなることは間違いないです。
そして、乾坤剣を長い間で修練しているうちに、太極十三勢も結果として自然に身に付いて来ていることが確認しております。
小さい時に師呉英華と馬岳梁に十三勢内勁について色々と伺っていましたが、色々な例え話を聴いても中々理解出来なかったですが、何故か今日になって両師がいなくなって大分経ったところでこの体でもって十三勢内勁を感じるようになって来ました。私の師はいつも「結果として付いてくる」というふうに太極内勁を説明していましたが、されどまさしく正しいことでありました。
これは太極拳創始者の張三豊師が申していた「結果を求めずにこつこつ練習するような謙遜な態度」とのことになりますね。
老子道徳経のままです。
太極剣の奥深さ
2013年7月15日