旧 太極拳よもやま話 未分類

太極はどのように修練すればよいでしょうか。

2013年11月11日

 ここで、太極拳ではなく、「太極」という表現を敢えて使わせて頂きます。これはおそらく日本では馴染みのない表現でしょうね。でも、かつての中国伝統太極界隈では当たり前の表現です。理由は簡単ですが、太極拳はただの太極拳ではなく、一つの思想として太極家元の人々は太極的生活を送っていたことはどの流派であっても同じです。そして、もう一つは太極は総合的な武道であって、拳だけではなく、推手、散手、気功、剣、刀、槍、棒、春秋大刀、杖・・・、ありとあらゆる方式の武道でありますね。わたくしも小さい時から二人の師より言われた専門用語は「太極を修練する」という言い方でした。
 一般的に太極というものを真面目に修練したいのならば、所謂太極拳というかなり遅い動きの拳法からはいります。わたくしだっと現在、当呉式太極拳の慢架である108式を一人で修練するとおよそ、70分から80分の間になります。まあ、サッカーの試合よりはまだ少し速いかもしれないですね。でも、実を言うとこれ以上遅くなると太極修練の間にところどころ止まってしまうこともありうるので、これは太極修練の中での最も大きなタブーでもありますね。
 そして、この太極拳慢架もまた、太極思想のように誰がやってもどのような偉い身分の大先生がやっても、いつの時代に於いても完璧な太極拳がありえないです。このような理由で太極拳の巨匠達は死ぬその日の朝、夕方迄太極修練を続けている者が非常に多いですね。自分的には、太極拳慢架の難しさだっと主にこのようなことになります。呉式慢架(快架も同じ)は骨盤の左右の揺れを最小限に抑えなければなりません。呉式慢架は基本的に骨盤を回転せず、腰の動きで回転するのが基本です。そして、呉式慢架は道教「三世七」太極拳を継承しており、開合は常に繰り返し行われ、それに伴う体の前傾時の体勢は後ろ足と背中が一直線であることを基本とします。勿論、お尻の凸や腰椎あたりの明門穴の凹は許されません。そして、殆どの場合、両肩が極端に前後することも許されず、上がることも太極基本に反してしまいますね。肘も重力に吸い込まれるように上がることも許されていません。そして、慢架を修練している間にはほぼ同じ高さを保つことになります。どんなに辛い時も同じですが・・・。わたくしは自分の太極拳研究会のプロから一般迄、どなたにもわりっと楽な高架太極拳を勧め、歩幅もあまり大きく取らないように勧めていますが、目的は少し楽な高架によって体がきつくなり難いし、同じ高さを保つことが簡単になりますね。そして、どの太極拳巨匠に聞いても同じ答えが変えてきますが、太極起勢の時の速度をこのまま脳で記憶し、最後まで同じスピードが要求されます。わたくしの弱点はやっていくうちに少しずつ遅くなることです。そして、初心者の方にとっては上半身をなるべく伸ばすこともあまり簡単ではありませんし、頚椎の動きで太極専門用語では「虚領頂勁」を守るのも簡単ではありません。
 勿論、太極拳の修練の時だけではなく、実生活の中でも、このような太極的な動きが求められます。例えば、あまり激しい運動をさけて、大声で人との喧嘩を控え、他人の欠点を突っ込まず長所を伸ばして差し上げること、推手練習時は激しい押し合いだけではなく、基本盤手の練習に時間をかけること、人様と正面衝突をしないこと、人を許すこと・・・。これを言いだしたら実に切りがないですね。そして、多くの学生さんが逃げます。だって、太極拳が難し過ぎると言われたらおしまいですね。
 まあ、大丈夫ですよ。少しずつやればよいです。ご心配なく、太極というものはこのようなものですよ。日進月歩を求めずに少しずつやれば、太極理想に少しずつ近付けることを忍耐づよく認めていれば、太極的結果も知らぬまについてきます。太極的結果は実は結構断念になる頃に密かに訪れます・・・。
 

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