旧 太極拳よもやま話 未分類

人身太極解

2013年12月3日

これは正に中国語的な表現です。日本語だっと人体と言う表現が相応しいかもしれないですね。「太極解」や「太極陰陽顛倒解」も中国語的な表現です。「解」は日本語的な表現だっとなになに「説」のようなイメージになります。中国語と日本語、共に漢字を使う言語ですが、実に微妙に意味が違ったりします。そして、太極理論のような僅かのズレも許されない敏感な学説では訳者が実に責任が重いです。私も出来る限り両国の言葉を深めていきたいと最近、身に滲みる程感じるようになりました。
 「人身太極解」とは、太極原理で人間の体を分析する説と言う風に訳した方が言語的には正解に存じますが、実際のところ「人体は太極そのもの説」という風に意訳した方がもっと相応しいです。「人身太極解」の内容はおよそこのようなものです:人類の全身は心がすべての主宰であります。心は太極その物です。二つの目は日月であり、謂わば両儀です。頭が天に例え、足が地、体の真ん中の部分と合わせて三才になります。手足は四像になります。(三才、四像は道教用語:三在は天地人、四像は中国古代の二十八宿と言う星の神様の中の東西南北の神です。それぞれ東青龍、西白虎、南朱雀、北玄武と言います)
 五行は内外で分かれています。
 内部の陰の部類、腎臓は水であり、心臓は火であり、肝臓は木であり、肺は金であり、膵臓は土であります。内部の陽の部類、膀胱は水なり、小腸は火であり、胆は木であり、大腸は金であり、胃は土であります。
 外部、颅丁(額)は火なり、地阁承浆(口から顎当たり)は水なり、左の耳は金、右の耳は木なり、二つの命門(目)は土であります。
 以上はおよそ半分位の説明でありますが、続きもまだ沢山さりますね。謂わば、人間の体のすべてを一つの小さい宇宙のように説明出来るとのことになります。健康な体で自然に太極勁が自然に生まれてくるとの説明もあるのですが、実際のところは私達が近代生活に慣れてきた体をぎゃらりと百八十度引っ繰り返す程に改造すれば所謂「太極勁」というものが自然に溢れ出てきますね。
 こで結論を出したいですが、太極勁とは人体がかなり調和出来た状態に体の内外の自然反応であります。
 これで多くの方々のご質問の答えられたかどうかはわかりませんが、少なくともこれはわたくしと自分の二人の師匠の答えでありますので、是非ご参考なさってください。実に多くの方より太極勁について聞かれましたが、私はいつも他所の方と違う風に説明している為、ご質問が多いのも当たり前ですね。私はまだ、この国で太極拳を教えて一年も立っていないですが、少なくとも現在のところ、私の研究会で勉強されている学生や門下生は私の説明について疑っていないはずです。
 このような学説は中医学を専攻された方がかなり詳しいはずですね。ただ、何故か長い間の太極拳の風化でこのような理論と全く関係がなくなってきていることが実にかなりです。現在、呉式太極拳家元のものどもも修練を怠り、理論研究はもはや無縁です。非常に悲しいのは力尽くの推手ばっかりが盛んです。不注意で転倒したり怪我したりもしていますね。とどのつまり実力不足で推手が負けていたら背後で人の悪口も結構言っていますね。これも正に世界全体の太極像を表しているのではないでしょうか。ここで太極拳創始者張三豊先生の言葉を思い出しました。
 無根樹,花正微,樹老重新接嫩枝。梅寄柳,桑接梨,傳與修真作樣兒。自古神仙栽接法,人老原來有藥醫。訪明師,問方兒,下手速修猶太遲
 漢文の強い方が多い日本ですので今回は訳しません。

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