太極勁が十三種類あることはこの一年間の間にずっと主張をして参りましたが、それぞれについて誤解があることは私だけではなく、多くの太極拳先生も口にしています。特に、楊式太極拳家元は私達呉式太極拳と同じ「太極法説」を研究している為、説明もかなり近いです。去年の10月に私用で故郷である上海へ帰郷した際、楊式太極拳家元の先生方と現在の世界の中で一番誤解が多い「太極按勁」について意見を交わしました。奇しくも全く同じ見解で私の長年に渡っての不安が解除されていて、本当によかったです。
按と言う漢字ですが、日本語も中国語も今日では同じ意味を示しています。誰でもわかるように「按」とは手で押すことです。そして、世界ではいつの間にか色々な流派を名乗る先生や、有名流派を名乗る先生の皆様がyou tubeで手で押すという動作を示し、「太極勁の按」だとおっしゃっています。ですが、私に言わせれば、このような「按」は空手にも合気道にも、大相撲にもまったく同じ手が存在するのではないでしょうか。
では、太極内勁である「按勁」はいかなるものでありましょうか?
答えは「太極法説」の中で言及していた「八法秘诀」で説明しましょう。
按勁儀何解?運用似水行。柔中寓剛强,急流势难当。遇高则澎满,逢窪向下潜。波浪有起伏,有空無不入。
太極拳の先人はここでも水で例えられましたね。「按」は単なる押すことではなく、水の流れのような勁を習得しなさいと言っていますね。柔らかい水が如何にも強い力を持っていますね。激流のような内勁は止めることが出来ないでしょうね。相手様が高いところに勁を持っていくのならば満潮の時のように自分の勁を充満して高まり、相手の低いところに何かの欠点があれば、見逃さずに水のように流れ込んでいきます。波は上がり下がりが特徴ですね。僅かな隙間に対しては水のように染み込んでいきます。と、先人が言っています。
「按」も十三勢も内勁です。一つの動作ではありません。